病んでいない
病んだふりをしている。
世の中に病んでる人がたくさんいるのに、自分は病んでいない。
例えるなら、私は「道を歩くのが怖いと言っている人」だ。
道で怖い人に会ったから、お前は外を歩けるわけないよと言われたから、もう玄関から外に出られない。
じゃあどうするのって言われたら、「いつか人間が空を飛べるようになったら、空を飛んで出かける」と言いながらしている。
でも道を歩けるふりをしている。
窓からたくさんの人がぞろぞろ道を歩いているのを見て、「じゃあ私も歩けるかな、みんな普通そうだし、怖くなさそうだし」といって一歩歩いてみたら、歩けるけれども、いつ周りから刺されるかわからなくて、歩くことに集中できない。キョロキョロしながら、誰が敵なのか、誰に心をゆるせばいいのか、気を落ちつかせられない。
歩くことの恐怖を押し殺して歩いている。きっと誰もがそうだ。でも、私だけがその恐怖を隠せないでいる。生きることは怖い。
だからといって、道だけが怖い場所じゃない。家の中だって怖い。棚から物が落ちて頭に怪我をするかもしれない。たくさん人がいる道の歩き方を忘れるかもしれない。
そういうことは都合よく忘れて、道は怖いといって、家にいる。
普通じゃないけれど、私は病んでいない。
本当に病んでる人の苦痛がわからない。
でも、周りから見たら似たようなものに見えるのだろう。
私は病んでない、病んでる人のふりをした汚い人間だ。
ピーターパン症候群のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや